メンタル繊細さんでも安心して読める
穏やかでやさしく、大きな事件や強い対立の少ない物語を選んで取り上げています。
繊細さん向けのお話

マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ(古内一絵・中央公論新社)─路地裏に灯る、優しさと強さのカフェ

犬鹿

メンタル繊細さんにおすすめポイント

  • 一話ごとに完結するスタイルなので、感情を引きずることなく読める
  • ドラァグクイーン達の会話が、軽快でちょうどよい笑いをくれる
  • “強さ”の描き方がやさしく、無理なく背中を押してくれる

あらすじ

商店街のの路地の奥にひっそりと佇む「マカン・マラン」は、昼はドレスショップ、夜はカフェ──ドラァグクイーンのシャールが営む、ちょっと特別な場所です。  

そこには、悩みを抱えた人たちがふらりと導かれるように訪れます。シャールの優しさが込められたマクロビオティックと、エリート会社員からドラァグクイーンへと転身したシャールの生き方に触れながら、訪れた人々は自分の未来をもう一度見つめ直していきます。

物語は一話完結のスタイルで、毎回異なる悩みを持つ人々が登場し、シャールとの出会いを通して少しずつ心をほどいていく──そんな静かで力強い物語です。

ドラァグクイーン シャールの優しさと料理

一話完結なので、感情を引きずることなく読めるのがうれしいポイント。  

シャールの仲間たちが集まって語り合う場面は、軽快でさっぱりしていて、読んでいてスッキリします。

悩みを打ち明けるお客に対して、シャールは多くを語らず、その人に合った料理をそっと差し出します。  

その押しつけがましくない優しさに、読者の心もじんわり温かくなります。

さらに、シャール自身の過去や、仲間たちの歩んできた道が語られることで、言葉に深みと説得力が生まれます。  

彼女たちの強さに触れることで、「自分も少しだけ強くなってみようかな」と思えるようになるのです。  

その“強さ”は、時に負荷を伴うものですが、それでも受け取ってみようと思える──そんな不思議な力があります。

物語には、現実の厳しさが描かれる瞬間もありますが、シャールの店を訪れた人々は、最後には希望を持って店を後にします。  

だからこそ、一話を分けて読むよりも、一気に読んで心の流れを感じるのがおすすめです。

優しさと強さが灯る場所ーマカン・マラン

「マカン・マラン」は、現実の厳しさと、ドラァグクイーンたちの優しさと強さが織りなす、静かで力強い物語。  

悩みを抱えた人々が、シャールの料理と生き方に触れて、自分の未来を見つめ直していく姿に、読者もそっと背中を押されるような気持ちになります。

感情の波が穏やかで、押しつけのない優しさが描かれているので、繊細な読者にも安心しておすすめできる一冊です。  

犬鹿

ちなみに、このシリーズの読む順番は、

『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』

『女王さまの夜食カフェ マカン・マランふたたび』

『きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび』

『さよならの夜食カフェ マカン・マランおしまい』です。

今回は、「二十三時の夜食カフェ」のみを取り上げたよ