『チャーハン兄弟』感想(行成薫・潮出版)|人の思いと温かさが料理に宿る物語
繊細な人でも安心して読める?
安心ポイント★★☆☆☆
- 序盤は少し注意が必要です。
- 兄弟の料理があまりにもひどく、客から厳しい言葉を浴びせられます。良かれと思ってしたことにも文句を言われ、主人公が「中途半端」と言われる場面も。
- 私は仕事を思い出して、読んでいて心がキュッとなりました。
- 「序盤を乗り切って!」と言いたくなる作品です。
- ただ、最後には明るい未来が見え始め、希望を感じられるラストになります。
- 仕事などで疲れているときは、少し心に余裕があるときに読むのがおすすめです。
あらすじ
銀行を辞めたばかりの主人公は、病気で入院した父に代わり、兄とともに父が経営していた中華料理店を継ぐことになります。
ところが、兄弟ともに料理の腕は素人同然。店を再開しても、二日目には閑古鳥が鳴いてしまいます。
果たして、兄弟は父の店を続けていけるのか。そして、伝説をつくることができるのか。
料理の経験もない兄弟が、中華料理店を舞台に奮闘する物語です。
読んで感じたこと
序盤はかなり厳しい展開が続きますが、読み進めると、兄弟がさまざまな人に助けられていることがわかります。
品質の良い材料を安く仕入れさせてもらうなど、周囲の人たちの温かさが感じられます。
そして、その助けは一方通行ではありません。
兄弟もいつの間にか周囲の人を助けていて、お互いに自然と支え合っているところが温かく感じられました。
こんな人におすすめ
- 人の温かさを感じる物語が好きな人
- 人とのつながりを描いた小説が好きな人
- 料理が出てくる小説が好きな人
- 最後には明るい気持ちになれる本を読みたい人
ただし、序盤にはクレームや厳しい言葉が多いので、仕事などで心が疲れているときは注意してください。
この作品で一番心に残ったこと
この兄弟は、物語の中でさまざまな人に助けられています。
その中には、普通なら素人には卸してもらえないような、品質の良い材料を安く仕入れさせてもらうこともあります。
最初は「周りの人たちに助けてもらっているんだな」と感じていました。
でも、その助けは、ただ兄弟が困っているから差し伸べられているものではありませんでした。
そこには、兄が過去にしてきたことや、人とのつながりがありました。
そして、兄弟もまた、いつの間にか周囲の人たちを助けています。
一方的に「助けてもらう」「恩返しをする」という関係ではなく、気づかないうちにお互いが支え合っている。
その関係に、じんときました。
また、カリスマ性のある兄にコンプレックスを抱いていた弟は、周囲から「中途半端」と言われます。
そんな弟が、自分の愛した料理店に込められた思いを知り、自分の店の料理に真剣に向き合うようになっていきます。
料理には、作る人の思いが乗る。
そして、その思いを知ることで、料理を食べる人の気持ちも変わっていく。
この作品を読んで、好きなお店って、料理の味だけではなく、そこにいる人や、その人たちの思いも含めて好きになるのかもしれないと思いました。
読後の感想、まとめ
この作品を読んで、人の思いの大切さ、何かに真摯に向き合うこと、そして人の温かさを感じました。
人を大切にする気持ちが、また誰かから返ってくる。
助ける側と助けられる側が決まっているのではなく、いつの間にかお互いに支え合っている。
そんな温かさが感じられる作品でした。
序盤は少ししんどいですが、最後には希望が見えて、明るい気持ちで読み終えることができます。
そして、きっとチャーハンが食べたくなります。



